皆の背中を見送り、居場所を守る
Sotto Voce
大藤園子さん
東武日光駅を出てすぐ、人々が賑やかに行きかう日光街道。
そんな大通りに面してなお、ゆったりとした空気に包まれている、それがソットボーチェという店だ。
街道からその小さな庭に足を踏み入れると、人の声や車のエンジン音が遠くなり、だんだんと静かな気持ちになってくる。
店の中には、たくさんのハーブ、スパイスが並んでいる。
ぽてっとした小瓶が可愛らしい。
常に50種類ものスパイス、ハーブを取り扱っており、店主オリジナルのカレースパイスは人気商品だ。
もちろん、体調に合わせてハーブティーをブレンドしてもらい、購入することもできる。
私は、あまり見たことのないハーブに惹かれ、それに合わせてブレンドしてもらった。ポットから注ぐとふんわりいい香りが漂い、じっくり味わってリラックス。
大藤さんが優しい声と笑顔で相槌をうってくれるので、話を聞くつもりがつい色々と話してしまった。
実は大藤さんはカウンセリングを仕事としていて、相手の話を聞くのはプロ中のプロだ。
今まで調理から営業、事務と一通り仕事を経験したが、今の仕事が一番楽しいという。
カウンセリングと、相手の気分や体調に耳を傾け調合するハーブには通づるものがあるのだろう。店にいる大藤さんはとても自然体で、楽しそうにしている姿が印象的だった。
「皆の背中を見送り、居場所を守る」
サッカーで言うと、完封勝利を収める側のゴールキーパーのような存在であるらしい。カウンセリングをする自分がいなくても困らない社会が、本来は望ましいのだ。
大藤さんは、別に相手の背中を押すことはしない。相手が考え、行動に移す様子を見守るだけだ。しかし、いつでも戻ってきていい。「安心していられる場所はいつでもあるよ」と、そっと囁くのが彼女のスタンス。
そんな小さな囁き-sotto voce-に引き寄せられ、居心地のいい空間を求めてつい足を運んでしまう客は絶えないことだろう。
取材日 2020/03/21
店舗情報
Sotto Voce
栃木県日光市松原町262
9:00~日暮れまで 土日のみ営業
P 近くの市営駐車場などを利用
https://sottovoce-nikko.amebaownd.com/