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上澤梅太郎商店
​上澤佑基さん

 下野国の今市宿。

 日光東照宮造営と時を同じくして創業したのが上澤梅太郎商店。始まりは日光神領の年貢米を預かる蔵業であった。

 

 そんな歴史ある醸造蔵の佇まいは今も堂々としている。

白く立派な蔵、大きな店構えと「日光みそのたまり漬」の文字。老舗らしい重厚感ある造りだが、圧迫感は感じない。むしろ温かみがあってとても落ち着くのは、そこに働く人たち真心のこもった接客ゆえだ。

 まさにその代表ともいえる、いつも物腰柔らかに出迎えてくれるのが上澤佑基さん。今は上澤梅太郎商店の取締役として、店舗の経営に携わっている。

 

 佑基さんの子どもの頃の想い出には、たまり漬の仕込み風景がある。蔵で一緒に野菜を洗ったり、味噌の味見をしたり。その時の味噌の味は、ずっと忘れられないわが家の味だ。そして、佑基さんのご両親、ご親族は皆さん食に関係する仕事をする方ばかり。「食」が大好きな人たちに囲まれて、幼少期を過ごした。

 自然と「食」に関することが好きになり、家族皆でそろって朝食を食べる習慣は、子どもの頃から、そして今も当たり前の風景として続いている。

 

 大学では森鴎外を素材に、研究に打ち込んだ。一見、家業に関係ないように見えて、ここで得られた知見はしっかり今の経営に活かされている。ちょうど明治維新という時代の過渡期に、人々の意識がどのように移り変わったのか、その反対に、変わらずにあるものは何なのか。いずれ漬物屋を継ぐ自分が、廃れる傾向にある「漬物」を今後どうしていけばよいか考えるために、時代の変化を読み取ることは重要だったのだ。

 

 そして大学在学中の飲食のアルバイトや修行時代の海外赴任で、異国の「食生活」に触れる。限られた生活条件の中でも「豊かな食卓」は存在しうるということに気付き、「食の豊かさとは、限られた素材を無駄なく活かす技術から生まれるもの」であり、それこそが「食文化の根幹」だと感じたと言う。


「上澤梅太郎商店の漬物と味噌を通して

  本当の食の豊かさを伝えたい。」

 

 食の豊かさはの本質は「豪華さ」にあるのではない、むしろ、「ごはん・みそ汁・漬物」のような素朴な食卓のなかに受け継がれているもの。旬の食材を活かす、ごくあたりまえの調理が食卓を豊かにし、気もちを満たしてくれる。昔は当たり前だったこのような経験が、現代にも通用する大切な価値観なのではないかと、佑基さんは考えている。

 

 そして様々な学びを得るうちに感じた「本当の食の豊かさ」を分かりやすく伝えるために、2020年から新たな展開を始めている。それが「汁飯香の店 隠居うわさわ」という、朝ごはん専門店だ。

 

 漬物屋の跡継ぎとして、日本の食文化を様々な角度で捉え、考え続けてきた佑基さんだからこそ提案できる、「豊かな食事」の形がそこにある。和食のみならず、洋風のおかずでも、中華風のおかずでも、ごはん・味噌汁・漬物はなんでも受け止められる「和食の寛容さ」に注目し、誰もが気軽に「豊かな食事」に立ち返れるよう、上澤流の朝ごはんを提案している。

 

 先々代までが暮らした上澤梅太郎商店の「隠居」で、日本庭園を見ながら味わう朝ごはんは格別。上澤家にとっては当たり前な、しかし現代人にとっては忘れがちな豊かな朝食の時間を噛みしめ、皆さんにも豊かなひとときを感じて欲しい。

店舗情報

日光みそのたまり漬 上澤梅太郎商店

栃木県日光市今市487

店舗営業 ほぼ年中無休 (8:30~17:30)

0288-21-0002 

駐車場完備

​HP https://www.tamarizuke.co.jp/

 

汁飯香の店 隠居うわさわの情報はこちらから↓

https://www.tamarizuke.co.jp/inkyo-uwasawa/