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「自分の好きを詰め込んだ日光下駄」

しげふさ
中山 美穂さん

日光下駄
それは栃木県を代表する伝統工芸品の一つ。

そしてその歴史は、江戸時代に遡る。東照宮に参拝する官次さんや住職が東照宮に参拝する際にはいていた履物。その背景には二社一寺は、履物は草履が原則。しかし日光の社寺は、坂道や砂利場、冬になると雪深くなり、草履では厳しくやむを得ず考案したのが、草履に下駄をすげた(付けた)通称「御免下駄」から始まる。

伝統工芸と聞くと、なんだかお堅く古いというイメージをもってしまうものだ。
しかしそれを作る若い女性がいると聞き会いに行った。

工房を覗くと、ベリーショートの格好いい印象の女性が、床に座り特殊な工具を使って黙々と草履を編んでいる。

その真剣な姿にしばし見とれていると、印象とは裏腹に、柔らかな温かい声で「こんにちは~!」と声をかけてくれた。


美穂さんの作る下駄はなんといっても鼻緒の柄の組み合わせ方が可愛らしい。

和柄を使っているが古臭く見えず、柄のいい部分を引き出して現代の若者にも好まれるような仕上がりだ。
左右で違う柄にするなど生地の組み合わせも楽しい。

「自分はモノづくりが好きだったことを思い出した」

彼女の実家は「アトリエしげふさ」という、主に和柄の生地で洋服や小物を作ったり、手直しをしたりするお店。
小さい頃は余りの布を自分なりに組み合わせて、よくお人形の服を作って遊んでいたそうだ。

長いこと広告デザインの会社で働いていたが、「モノづくりが好き」という気持ちを思い出せたのは、機会があって子供の服を作ったとき。

日光下駄との出会い

そんなころ、前から興味があった日光下駄と巡り合わせがある。日光下駄の師匠である山本さんのもとで、下駄職人を募集しているのを旦那さんが発見したのだ。

時間もタイミングも合うことから見学に行き、そのまま職人の道へ入り込むことを決意した。

下駄を編むのは一本一本が真剣勝負だ。

美穂さん曰く、

少しのゆがみも見逃さずきっちりと編んでいくとしっかりとした形になる。逆にちょっとおかしいな?と思って作るとやっぱり不細工な下駄になる。

「少しでも妥協したらそれが形に現れるんです。」

工芸品を作る技が、残す価値のあるものとして指定される意味が分かった気がした。

「自分の好きを詰め込んだ日光下駄」

和柄の布集めはそれこそ子供のころからの趣味で、大人になってからは、いいなと思う布はすぐ購入してきた。

そのお気に入りの布を好きに組み合わせて日光下駄を作るのは、伝統工芸を継承するというより、自分らしく楽しく表現していると言う方がピッタリくる。

伝統工芸品だからと言って、昔にとらわれ過ぎなくてもいいし、気軽に自分の好きを詰め込んで表現できる。

美穂さんのこのスタンスはとても好ましく思え、伝統工芸のあり方について改めて考えずにはいられない。

9月で修業が終わり、美穂さんもいよいよ日光下駄職人として独立する。

町の服飾雑貨屋に、靴と同じように色々な日光下駄が並べてある、そんな心躍る光景がもうすぐ見られるかもしれない。。昔ながらの日光下駄も趣があるが、そこに美穂さんらしい日光下駄が並ぶのがとても楽しみだ。

取材日 2021/07/30

店舗情報

アトリエしげふさ

栃木県日光市今市786-2

土曜~火曜(定休日水 木 金) 10:00~16:00 

​Pなし

JR今市駅、東武下今市駅から徒歩5分ほど

美穂さんの活動

Instagram @nakayamamihawk

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